水中カメラの始め方

~どうやってはじめるかの道順~

一眼レフやミラーレス一眼、コンパクトデジタルカメラ、また防水機能を持ったカメラもある中で、まず検討することは「水中写真を撮る理由、目的」

  1. どのような海で使用するのか。
  2. どうような写真を撮影したいのか。
  3. 撮影した写真を、どう活用するのか。

1.どのような海で使用するのか。
例えば透明度の高い海や、大物狙いのダイビング。地形ポイント。
逆に透明度が期待できないが、小さな生物目的。流れが強い場所。

 

 

(ジンベイザメ)

2.どのような写真を撮影したいのか。
大物狙い・魚群・地形のワイド主体。
小さなマクロ生物主体。ダイバー仲間。

 

 

 

 

 

3.撮影した写真を、どう活用するのか。
自分(仲間)の思い出スナップショット。(プリントしてもL版~大きくてA4まで)
フォトコンテストに出す写真や作品として残したいのか。

水中カメラをはじめる際に、上記を少し考えると、自分に合ったカメラが見えてきます。カメラを持って海に入る目的がある程度決まれば、数あるカメラを実際に見て触って、ご予算に合わせて選ぶと良いです。
「魅力」はダイバーそれぞれが色々な楽しみ方をしますが、ダイビングの思い出をカメラに残せば、ログブック上のデータだけでなく、出会った生物の名前、色、模様まで思い返すことができます。記念ダイブやリゾートダイブで一緒に潜った仲間を撮影してプレゼントしたり、アフターダイブで写真を活用したりとダイビングの楽しみが倍増します。ダイビングを始めたばかりでカメラまではまだ早いではなく、始めたばかりのダイバーにしか撮影できないショットもあります。
海の中で見るもの全てが新鮮なので、潜りなれたダイバーが見落とすものを偶然にも写していることもあれば、仲間同士で撮りあって、目が引きつっていたり、砂を巻き上げたり、サンゴを蹴っていたり等々、奇跡の瞬間を写すのに、初心者も上級者も関係ありません。直感でしょう。

「水中カメラハウジング、ストロボ、ライト、拡張システムアップ」
撮影する目的が「大きなサイズに印刷して作品として残したい。飾りたい」「フォトコンテストに出して賞を狙っている」という方、画質はもちろん、クオリティ優先で選ぶのであれば、一眼レフが選択肢に入ります。カメラ本体もコンパクトデジカメに比べると値が張りますし、ハウジングも場合によってはカメラ本体よりも高額になります。さらに使用するレンズ(ワイド系・マクロ系)に合わせたポートが必要になります。初期費用は高くなりますが、最高の写真を残すには、やはり良いものを持っているに限ります。カメラの機能、性能、撮影の練習を繰り返せば、大満足できる一瞬を捉える日はそう遠くないかもしれません。

 

 

(NIKON D7000一眼レフハウジング)

しかし、一眼レフまでは予算が・・・。大きいし持ち運びも・・・。でも、欲張りに「綺麗な写真を残したい」というダイバーには、最適の「ミラーレス一眼」がおススメです。
ミラーレス一眼でも、上位機種を手にすれば一眼レフに近づくことは可能です。「フォトコンテスト入賞」なんてことも当然可能ですし、オート撮影だけでなく、マニュアル撮影にも挑戦できます。コンパクトデジカメじゃ物足りないというダイバーの方でも、ミラーレス一眼を持って海へ入れば、撮りたい写真を、思うように残せ「作品」としてのクオリティも非常に高くなります。
そしてなにより、シャッターを押すたびに指先に伝わる感覚が忘れられず、潜りに行きたくなることは必須です。
ミラーレス一眼はコンパクトサイズながらレンズ交換式で、操作も簡単でダイバー以外でも人気の高いカメラです。レンズ交換式なので、潜るポイントに合わせることが可能です。
「ジンベイザメ」「マンタ」の大物出現ポイントや、「ギンガメアジの巨大なトルネード」など、なるべく近づいて撮影したい。でも近づけば近づくだけ、全体を写すことはできない。じゃぁ、全体を写すために、距離を離せば・・・。なんてことはコンパクトデジカメユーザーの方は感じる部分ではないでしょうか。広角レンズや、フィッシュアイレンズを装着できるミラーレス一眼は、そのような不満を一瞬で解決します。マクロ生物が大好きなダイバーでも、マクロレンズ取付で、ウミウシやダンゴウオのような1ミリ、2ミリの超マクロでもカメラに残せます。
更には、動画撮影までもが美しく撮影できる点も嬉しいおススメポイントです。一眼レフ同様にミラーレス一眼もフルハイビジョン撮影に対応する機種であれば、静止画だけでなく、綺麗で鮮明な動画を思い出として残すことができるので魅力です。

 

(SONY NEX7ミラーレス一眼ハウジング)

ミラーレス一眼の「操作が簡単」も売りの一つですので、静止画メインでも、「あっここは動画で」と思った時には、ボタンを一つ押すだけで動画撮影に切り替え可能なワンタッチ操作で、海の中でも、使い勝手がよく、細かな作業が苦手な方でも十分操作できます。
ミラーレス一眼対応のハウジングにも素材の違いや、金額の違いがあります。
その点を明確にしてからご予算も含めて検討されると良いと思います。
素材の違いは「ポリカーボネイト」というプラスチック系の素材から作られるものと、アルミを削り出した形のハウジングがあります。コストパフォーマンスだけでいえば、ポリカーボネイトのプラスチック素材のハウジングが優れています。アルミ削り出しは素材だけでなく、生産過程においても高度な技術が必要なため、大量生産もされないため、コストがやや高くなっている現状があります。
しかし、使う場所は海の中。耐久性も大切です。水没すればカメラは使用不可。修理も受けてもらえないことが多いです。そしてなにより、「陸上と同じように海の中でも撮影ができるのか」が重要です。
耐久性、操作性に優れているのは、アルミ削り出しのハウジングに勝るものはありません。
だからと言って、ポリカーボネイトのプラスチックハウジングが耐久性に欠けていることはありません。耐圧水深30mまでOKの物も多いですので、その点は問題ありません。ただ、水没のリスクが多いというデメリットはあります。特に弱いのが熱。真夏のダイビングの際に、陸上でもボート上でもハウジング自体に直射日光や高温で熱くなってしまうと要注意です。Oリングもしっかりセットして潜ったにも関わらず水没。その原因が外見ではわからない。その原因が「歪み」という目ではわからない程度のものでも水没要因になってしまうのです。「歪み」を防ぐには、直射日光を防ぐことも重要ですが、目に見て判断できないので、長く使用するという点からは外れてしまいます。
その点、アルミ製は耐圧水深70m対応が当然でありながら熱にも強い素材です。長く使用したいダイバーのかたには間違いなく、後々のコストを考慮してもおススメです。
操作性も絶妙なシャッターボタン、反押し感が指先に伝わり、モード設定や、マニュアル撮影まで踏み込んでも、操作一つ一つが容易です。
簡単に表現すると「陸上で撮影するのと、海で撮影するのと同じ要領でできる」これが大きな魅力であるアルミ製ハウジング。水中写真専門メーカがダイバーの使用感第一に産み出すハウジングは、どこの海に行っても「良いハウジング持ってますね」と言われるでしょう。その満足感を感じる楽しみもあります。

「一眼レフ」「ミラーレス一眼」までは選択肢には入らないダイバーの方で
「初期費用はとにかく抑えたい」「あれば便利でいいかも」「パソコンに保存して、印刷してもL版程度」であれば、コンパクトデジタルカメラで楽しむのが最適です。
コンパクトデジタルカメラでもあなどれないハイエンド機種もあります。
今後、ステップアップを踏まえての入門機としても、また陸上でも撮影を楽しめるハイエンド機種がダイバーの中ではやはり人気です。手の平に乗るコンパクトサイズと、ご予算に合ったカメラを選択できますが、注意点としては、全てのカメラにハウジングが販売されているわけではありません。まず、購入したいカメラに対応したハウジングがあるかを確認することが重要です。
コンパクトデジカメのハウジングの多くは、様々な外付けレンズに対応しております。マクロレンズ、ワイドコンバーションレンズ、フィッシュアイレンズ、中には対応しないものもありますが、メリットは海中でも交換可能なので、マクロ撮影中でも、頭上にマンタが現れれば、ワイドレンズ装着で撮影なんてことも可能です。融通が利くというメリットは大きいです。
各々のハウジングに専用のレンズ装着パーツが販売されておりますので、レンズを使用しての撮影もしたいダイバーの方は、その点も踏まえて検討してみてください。

CANON S100 コンパクトデジタルカメラハウジング

「ストロボ・ライト」

一眼レフ・ミラーレス一眼、コンパクトデジタルカメラでも、多くのハウジングでシステムアップが可能です。外部ストロボの取付けや、ライトの装着、またそれらを使用するためのアーム展開。
ストロボやライトの必要性は高く、持っているのと、ないのとでは格段の差が現れます。
水族館では泳ぐ魚の色や模様が綺麗に、はっきりわかります。それはライティング(照明)設備まで細かな配慮がさせているので、綺麗に見えるのです。
実際海の中では水深が深くなると太陽光も差し込まなく、色が吸収されるため、本来は色鮮やかな魚も、全体的に黒っぽくみえることがあります。その魚を被写体として写すと、当然ですが目で見るのと同様に黒っぽく写ってしまいます。
それを改善するのに必須なのがストロボやライトです。

(外部ストロボ)

 


 

  (LEDライト)

本来の魚の色、サンゴの色を写真に収めるために、フラッシュで光を当てることによって、また動画であれば、ライトをあてることによって、色鮮やかに撮影できます。
ストロボやライトの装着、更にグリップ、アーム拡張は、非常に複雑だと考える方も多いようですが、そんなことはありません。一度使用方法を目で見て触ってみると、「こんな簡単な構造だったんだ」と言われる方も多いです。
そしてなによりも、ストロボやライトを付ける前と付けた後の写真の仕上がりの違いにビックリされます。そのくらい大差がでる重要なものです。
重要、必須と言っていますが、必ずしもすべてにおいて必要ではなく、水深が浅く太陽光がしっかりあたる場所であれば、必要ないでしょう。自分の目で見て色が鮮明にわかれば、フラッシュをあてる必要はありません。また地形を撮影する場合や、被写体まで距離がある場合は、同様にフラッシュやライトをあてる必要性は少なく、逆にあてることによって浮遊物を写しこんでしまうこともあるので、場面にあった使い方をされることが一番です。

 
(ストロボ発光なし) 

          

 (ストロボ発光あり)

水中カメラを持とうかと検討される方、また買い替えやステップアップ、拡張を検討される方に最大のアドバイスは、いかに自分にあったものを持てるかです。実際に見て、手に取ってみないとわからないことはたくさんあります。また手に取ってから出てくる疑問もあります。
「買ってから失敗だったな」と思ってしまうと非常に残念ですので、納得のいくお買い物で、
ダイビングの思い出を残して貰えたらと思います。購入して頂いたもので、「写真コンテストで入賞しました」のお客様の声がなにより嬉しい限りです。

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